月経困難症
月経困難症とは月経に随伴して起こる病的症状で、下腹部痛や腰痛、腹部膨満感、吐き気、頭痛、疲労、イライラなどが現れ、日常生活に支障をきたす状態を指します。
近年、思春期における月経困難症が生活に及ぼす影響について、いろいろな報告がなされています。
思春期・若年女性における月経困難症の割合は34〜94%、月経困難症による学校の欠席は7.7〜57.8%との報告もあり、学校の欠席以外にも集中力低下や学業への影響(テストを受けられない,テストで実力を発揮できないなど)、社会生活への影響などが指摘されています。また、女性特有の健康課題による社会全体の経済損失の報告では、月経随伴症(月経困難症,月経前症候群) は約0.6兆円と試算されています。
エビデンスに基づいた診療
「月経痛は我慢するもの」と思われがちですが、実は治療によって大きく改善できる症状です。当院では従来行われてきた鎮痛剤による対症療法ではなく、月経困難症による「生活の質の低下」をできるだけ軽快、改善する方法で対応していきます。世界に比較して日本の対応は遅れており、現在の治療の主流はホルモン療法です。WHOも初経から閉経まで、妊娠希望のない月経困難症の女性の治療の第1選択はホルモン療法をすすめています。
当院でも、正確なエビデンスのもとで、最新の治療方法や血知識を取り入れた、患者さんの苦痛をできるだけ取り除き、安全で安心なホルモン療法を行なっています。治療を受ける上で大事なことは、正確な情報、知識のある医師のもとで治療を受けることが重要になります。
月経困難症の種類
月経困難症には大きく分けて次の2種類があります。
| 機能性 月経困難症 |
子宮や卵巣に異常がなく、痛みの原因となるプロスタグランジン(PG)子宮内膜から産生され、PGにより子宮筋の過剰収縮とそれに伴う虚血性疼痛が発生します。 |
|---|---|
| 器質性 月経困難症 |
子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症などの病気が原因となるもの。思春期においては月経血流出路の狭窄をきたすような奇形、OHVIRA症候群などがみられる場合もあります。 |
治療
当院での治療方針は、正確で詳細な問診を行ったのち、内診は希望がない場合は行いません。しかし、経腹超音波断層法検査による骨盤内(子宮及び付属器)の評価は行います。患者さん及びご家族とも相談を行い、一方的な治療は行わず患者さんの「生活の質の向上」を目標にして治療方針を決定していきます。
①ホルモン療法
1) 低用量エストロゲン・プロゲステロン配合薬(LEP: low dose estrogen progestin)
月経困難症に対して保険適用薬として、周期的投与と長期的連続投与があります。
鎮痛剤で十分な鎮痛効果が得られない場合は、「生活の質の低下」を起こすだけで何も解決しません。
2) 黄体ホルモン療法
プロゲステロンを持続投与することにより、プロゲステロン受容体に作用して、卵機能や子宮内膜細胞の増殖を抑えることにより、月経時の下腹部痛、腰痛などの月経痛を改善します。
②鎮痛剤、鎮痙剤、漢方薬
月経困難症に対しては、積極的にホルモン療法を行なっていますが、血栓症などのリスクがあり使用できなかた、月経困難症が「生活の質の低下」のない方、希望されない方はたの治療法を相談しながら決定していきます。
また、子宮内膜症や子宮筋腫などの器質的月経困難症に対してもホルモン療法を中心に治療を行いますが、外科的加療が必要な時は、信頼できる連携先の総合病院へ紹介を行っています。
月経前症候群(PMS)
月経前症候群(PMS)は、月経が起こる3~10日前から腹痛や気分の変調などが起こってしまい、月経開始とともに減退・消失する疾患です。
月経前の時期になるとイライラする、気持ちが沈む、頭痛や腹痛が強まるといった症状がある方は、PMSの可能性があります。
PMSの主な症状
| 精神神経 症状 |
情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害 |
|---|---|
| 自律神経 症状 |
のぼせ、食欲不振・過食、めまい、倦怠感 |
| 身体的 症状 |
腹痛、頭痛、腰痛、手足のむくみ、お腹の張り、乳房の張り |
治療
主に鎮痛剤や睡眠薬などによる対症療法を行います。日常生活に大きな支障をきたす恐れのある症状の重い方には、ピルや抗うつ薬なども処方いたします。